家の断熱性能が将来の医療と税金に関係してくる意外な理由
こちらの記事でもご紹介していますが、WHOは2018年に“冬季における室内温度は18度を推奨する”と世界各国に勧告しました。これは、18度以上を保つことで呼吸器疾患や心血管疾患の死亡リスクを低下させるという研究報告によるものです。国内の追跡調査でも、冬季における室内温度が暖かいほど死亡リスクが下がるという報告があります。
そして、冬季における室温18度を実現するためには、断熱性能=UA値0.6あれば十分、可能ならUA値0.5が理想であることを上記の記事で紹介しています。今回は、そんな断熱性能の話が将来の医療、税金に関係してくるという話を少しご紹介します。
社会保障費用の予算は毎年約20兆円足りていない
こちらは、令和4年の社会保障費用の基礎資料になりますが、医療に支払われる社会保障料は約41兆円。2021年の国民全体の医療費は約44兆円なので9割以上を社会保障費で賄われている状態です。
そして、消費税が10%に上がったのもこの社会保障費用を賄うことが大きな理由ですが、それでもまだ20兆円が足りていない状態です。足りてない分は国債(政府の負債)によって補填されています。
なぜ、税金が上がり続けるのか?
日本で税金が上がり続けている理由は、少子高齢化です。2025年には、65歳以上の比率が4人に1人。2035年には3人に1人が65歳以上の高齢者になります。
高齢者の割合が多いと、先ほどご紹介した社会保障費(医療費や年金)を保険料と税金で賄う割合も大きくなっていくため、65歳以下の負担比率が増えてしまいます。2022年現在では消費税が10%に引き上げられてもまだ20兆円が足りないため、その他の保険料や税金も上げざるを得ません。
というのが一般論です。
ここからは少し余談ですが、現在足りない社会保障費用は国債(政府の負債)で賄われます。政府の子会社である日本銀行が発行する国債は返済不要の負債となるため、増税せずに国債でまかない、さらに積極的な防衛・防災、インフラ等の公共事業への国債発行を行う財政支出を進める必要があります。
国債を発行し続けると円の価値が下がりインフレへと傾いていくことが懸念されますが、デフレがずっと続いてきた日本では積極的な財政支出を行い、インフレのことはデフレを脱却してから考えるべきです。ただ、残念ながら今までの日本は経済を萎縮させる真逆の対策を進めてきたため、今後どこで健全な政策に方向転換できるかは未知数となっています。
純粋な“医療業界の人手不足”を考慮すると、医療費削減は急務
日本の今までの政策を考慮すると、足りない社会保障費用分の増税はしばらく続いていくことになり、医療費の削減に向けては国民全体で進めていかなくてはいけない課題となります。
また、医療業界はコロナウイルス感染症が流行する前から慢性的な人手不足です。今後、65歳以上の高齢者の比率が上がるにつれて、より少ない人数で高齢者の医療に対応しなければいけない状況になるため、今まで以上に医療を受けるハードルが上がってしまう可能性があります。
つまり、日本の経済政策を抜きに考えても、将来的に“医療費を下げる=国民の健康度を高め医療を受ける人を減らす”必要があります。
住宅環境によって慢性的な高血圧が続けば、相対的に病気のリスクが増す
少子高齢化による65歳以上の方の比率が高まることで、65歳以下の現役世代の負担が増えます。それは、金銭的にも医療現場の人手不足としても言えることです。
そして、住宅の冬季室温が18度を下回ることで高血圧がジワジワと促進され、呼吸器疾患や心血管疾患のリスクが上がると冒頭でお伝えしましたが、もちろん住宅環境のみならず
- 食生活の乱れ
- 運動不足
- 睡眠不足
- 喫煙
- 飲酒
これらの生活習慣による影響も大きいです。ですが、住宅環境も無視できない要因であることは間違いありません。また、温度だけでなくハウスダストの問題もあります。
現在の住宅は24時間換気が義務づけられていますが、その多くは壁の高い位置で行う第3種換気です。排気口が人より高い位置にあるため、床面にハウスダストが溜まりやすく、呼吸器疾患やアトピー性皮膚炎だけでなく食物アレルギーの原因の1つにもなっています。そのため、ライトパスではハウスダストを効率よく排出できるよう、床排気ができる換気システムを採用しご提案しております。
食物アレルギーは、乾燥した皮膚からアレルゲンであるタンパク質が体内に入り抗原ができ、食物アレルギーに繋がることが近年の研究で報告されています。ハウスダスト中には、アレルゲンであるタンパク質が浮遊しているため、肌の保湿と換気システムによる床排気は重要なポイントです。
長い目で見ると、将来の家族の健康にも影響してきます。家は簡単に買い換えるものではないため、視野を広くもち、目の前のことも将来のことも考えて家づくりを進めていければいいですね。