2022.09.28
24時間熱交換換気を床下で行う最大のメリットは断熱と健康
日本の住宅は、2003年の建築基準法改正により24時間換気が義務付けられました。日本の住宅で24時間換気を行う方法は主に2種類あります。
- 第1種換気:給気も排気もファン
- 第3種換気:排気だけがファンで自然給気
第3種換気は低コストで設置可能なため、日本の住宅で1番採用されている換気システムです。一方、第1種換気は熱交換が行えるタイプが一般的でコストが少しだけ高いです。その代わり、室内の空気を排出する際に室温・湿度を回収し再利用することで、冷暖房効果を高めるメリットがあります。
そして、第1種換気を採用される際は“天井または壁を利用”したダクトが中心の換気システムになりますが、どの方式で換気を行うかで断熱性能と住む人の健康を左右します。
−目次−
●第1種換気を床下で行うと床下の空気の温度が室温に近くなる
●断熱性能は外気温と室内の温度差で計算する→床下の温度がメリットに
●床排気によりアレルギーの原因となるハウスダストを効率よく排出
●第1種24時間熱交換換気は床下で行うことで2つの大きなメリットがある
第1種換気を床下で行うと床下の空気の温度が室温に近くなる
ライトパスが採用している第1種換気システム“澄家”は、給気を床下から、排気を床上で行います。給気された空気は熱交換により室温に近い温度となり、一旦床下へ広がります。その後、床に取り付けた給気口からリビングへ空気が移動し、各部屋の床に設置された排気口へと流れていきます。
通常であれば、床下は湿気が溜まらないように基礎と土台の間のパッキンに通気性をもたせ、床下は外気温に近い状態になります。ですが、澄家の場合は基礎断熱を行うことで外気温が直接入らない構造にし、
- 夏は約26〜27度の空気が床下に(室温26度の空気を熱交換)
- 冬は約20度の空気が床下に(室内23度の空気を熱交換)
このように、室温に近い空気が床下に広がります。とくに冬の場合、床下の空気が外気温に近いと底冷えの原因にもなりますが、床下の空気自体が室温に近いため床暖房無しでも快適に過ごすことができます。
断熱性能は外気温と室内の温度差で計算する→床下の温度がメリットに
通常、家の断熱性能(=UA値)と熱損失(1時間に失う家の中の熱量)の計算は、
- UA値0.5[W/㎡K] × 家の表面積300[㎡] × 外気温との差20度(冬) = 熱損失3000[W]
- 熱損失3000[W] ÷ 家の面積300[㎡] ÷ 外気温との差20度(冬) = UA値0.5[W/㎡K]
という計算が成り立ちます(一例です)。この時、澄家を導入し床下の温度が約17度、外気温との差が3度だった場合は熱損失3000Wが2500Wぐらいまで下がります(天井、壁、床、窓、それぞれのUA値×面積×温度差で計算するため、床の熱損失が少なくなる)。そうすると、
- 熱損失2500[W] ÷ 家の表面積300[㎡] ÷ 外気温との差20度(冬) = UA値0.41[W/㎡K]
UA値0.5→0.41と数値が高くなります(UA値は数字が小さいほど高性能)。一般的な床下は通気性をもたせて外気温との差を無くすことが多いですが、澄家であれば温度差を室温に近い状態で保てるため、実質的な断熱性能も大きく貢献してきます。
さらに費用対効果が高く、澄家の導入費用はおよそ40万円ほどです。断熱性能を約0.8ほど上げようと思うと、ざっと200〜300万円は必要になることが多いので、澄家の費用対効果が優れているのが分かります。
床排気によりアレルギーの原因となるハウスダストを効率よく排出
ハウスダストがアレルギーの発症、または悪化と関連があることが様々な研究で報告されています。また、ハウスダストに含まれる食物アレルゲンが乾燥した皮膚に触れることで抗体を持ち、食物アレルギーの原因にもなるということも分かってきています。そんなハウスダストは、近年のような高性能住宅ではとくに家の中に溜まりやすいです。
ハウスダストは床に近いほど多くなります。上の画像をご覧いただくと、とくに床面から25cmの高さに約7割のハウスダストが、床面から50cmなら約8割のハウスダストが集中しています。
しかし、一般的な換気システムは壁や天井など高い位置に取り付けらることが多く、床面に溜まったハウスダストを取り切ることが難しいです。こまめに窓を開けて換気したり掃除をするなど、ハウスダスト対策を行わないとホコリやハウスダストが床面に溜まっていきます。
ですが、床で排気できる換気システムであれば、床面に溜まりやすいハウスダストを効率よく外へ排出することができます。もちろん、全てのハウスダストが床排気だけで外に出てくれるわけではありませんが、高い位置に取り付けられた排気口と比べるとその差は大きいです。
第1種24時間熱交換換気は床下で行うことでより効果を発揮する
ここまでご紹介したように、床下の温度が一定になることで実質的な断熱性能が大きく向上し、その費用対効果も優れています。また、アレルギーを引き起こすハウスダストを効率よく排出できる床排気の方が、より健康な暮らしを提供できます。
アレルギーに関しては、お風呂上がりの保湿も大事です。肌の乾燥は、皮膚のバリア機能を落とし食物アレルギーやアトピー性皮膚炎へと繋がります。しかし、空気中のアレルゲン物質を少なくすることも同じぐらい大事です。
家づくりは、そこに住む人の健康を支えることにもなります。より健康に、より快適に暮らしていただくためにも、第1種24時間熱交換換気システムを採用するのであれば、換気は床下で採用するのが理想ではないかと考えています。