木の家をもっと強く、コーチパネル工法で高い耐震性を
耐震性を向上させる手法はいくつかありますが、コーチパネル工法はその1つです。飛行機にも採用されるモノコック構造で建てるため、飛躍的に耐震性が高まります。また、断熱性と気密性も同時に高められ、壁内結露も予防できるのが特徴です。
近年普及しつつある最先端の工法で、ライトパスでもコーチパネル工法をプランの1つとしてご提案していますが、この記事ではコーチパネル工法が一般的な工法とどう違うのか?どういったメリットがあるのかをご紹介します。
−目次−
●耐震性を向上させる一般的な手法
●なぜ、筋交いよりも耐力面材なのか?
●コーチパネルは、柱と柱の間にはめ込んでいく
●コーチパネルは工場生産、精度にばらつきがない
●断熱材にネオマフォームを採用することで壁内結露の心配も無し
●性能、耐久性、全てに対応できるコーチパネル
耐震性を向上させる一般的な手法
家を建てる際はまず基礎工事から始まります。その後、柱を立てて梁を乗せていき家の骨組みが仕上がります。そして、近年主流なのは外周部に耐力面材というボードを張っていく工法です。
この耐力面材は想像以上に強度が高く、1枚あたり60本以上の釘を使って固定することで地震に耐える“耐力壁”となります。面材を外周部全体に張っていくことで、地震エネルギーを面全体で分散させ耐震性が上がるという仕組みです。
そして、室内側では“筋交い”を柱と柱の間に斜めに配置し固定することで耐震性の補助を行います。
筋交いは、一棟一棟の間取りと耐力壁のバランスによって配置する場所と量が変わります。ちなみに、一昔前は筋交いだけで耐震性を上げるのが一般的でしたが、外周部は面材の方がメリットが大きいことから近年は面材を使うのが一般的になりました。
なぜ、筋交いよりも耐力面材なのか?
筋交いよりも耐力面材の方が普及した理由として、固定するビス・釘の本数と、打つ箇所による耐震性の違いが挙げられます。筋交いはビスを打つ場所が2箇所26本と地震の力が集中するのに対して、面材は全体にまんべんなく60本以上の釘を打っていきます。
単純に26本と60本以上と本数が違う上に、1本1本を全体的に打てる面材はより地震の力を分散させることができます。ただ、筋交いを斜めだけでなくたすき掛けのように2本使うことで、4箇所52本で固定でき耐力壁としても強くはなります。
ですが、手間とコストがかかり、断熱材の体積も少なくなるという理由もあり、外周部には面材で、建物内に筋交いを使うというケースが多くなりました。
コーチパネルは、柱と柱の間にはめ込んでいく
耐力面材を外側から張るのが主流になってきましたが、コーチパネルは頑丈なパネルを柱と柱の間にはめ込んでしまいます。このパネルには、先程の耐力面材が釘で打ち込まれているため耐力壁としても機能します。
耐力壁としても機能しながら、柱と柱の間にはめ込むモノコック構造により同じ耐震等級3でも実際の耐震性が飛躍的に高くなります。
こちらの動画では、通常の外から張る耐力面材(大壁直張り)とコーチパネルに同じ揺れを与える実験をされていますが、コーチパネルの方がより大きな揺れに何度も耐えています。同じ耐震等級3でも、工法によって実際の耐震性が大きく変わるのが分かりますね。
また、コーチパネルには熱伝導率が0.02[W/m・K]と断熱性がトップクラスのネオマフォームを埋め込むことが可能のため、耐震性能だけでなく断熱性能も高くできます。さらに、埋め込んだパネルと柱に気密テープを張ることで高い気密性も得ることが可能です。
住宅の3大性能である
- 耐震性
- 断熱性
- 気密性
これら住宅の3大性能を高い水準で得ることができるのがコーチパネル工法の最大の特徴です。さらに、ハウスメーカーと比べて同じ性能をよりローコストで実現できることも大きなメリットです。
コーチパネルは工場生産、精度にばらつきがない
通常、耐力面材は職人さんが現場で釘を打って固定していきますが、コーチパネルの場合は工場ですでに釘が打たれた状態で現場に運ばれてきます。この釘打ちが耐力面材では大事なポイントで、力が強すぎて釘がめり込んでしまうと耐力壁としての機能性が落ちてしまいます。
こちらはコーチパネルに打ち込まれた釘の写真ですが、ご覧の通り面の位置ピッタリで打ち込まれているのが分かります。全ての耐力面材を、浅くも深くもないピッタリな位置で釘を打ち込めるのは、高精度な組み立てができる工場生産の大きなメリットです。
断熱材にネオマフォームを採用することで壁内結露の心配も無し
コーチパネル工法で建てさせていただく際には、断熱材に60mmのネオマフォームを標準採用しています。このネオマフォームは、水蒸気を非常に通しにくい素材のため、冬場の外気温が-10℃まで下がっても壁内結露は発生しません(室温20℃・湿度50%で計算)。
通常、断熱材を壁内部に設けた場合、木材系の耐力面材を使うと壁内結露が発生するケースがあります。壁内結露を予防するには、
- ①断熱材の室内側に防湿シートを張る
- ②耐力面材に鉱物や石膏が原料のものを使う
- ③水蒸気を通しにくい断熱材を使う
といった対策が必要になりますが、コーチパネル工法は③に当てはまります。また、コーチパネルを使わない標準仕様でも③の水蒸気を通しにくい断熱材を使う仕様にしています。
ちなみに、ローコスト住宅の場合は1〜3の対策のどれもなされていないケースが多いです。それでも建築基準法としては問題ありませんが、長い目で見た時に壁内結露が原因で壁内部や柱が弱ってしまい、とくに寒い地域では耐震性が弱くなる可能性があります。
性能、耐久性、全てに対応できるコーチパネル
コーチパネル工法は、耐震性だけでなく断熱性も気密性も上がり、壁内結露の予防も可能になるメリットが大きい工法です。強いてデメリットを挙げるなら、コストがそれなりにかかってしまうことでしょうか。
それでも、ハウスメーカーで同じような性能を求めることに比べれば、十分コストパフォーマンスの良い住宅を建てることができます。コーチパネル工法は推奨オプションという形ですが、ご興味をもっていただた際はぜひ気軽にご相談ください。