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ヒートショックの原因は家の断熱性能、ではない? |家づくりコラム|ライトパス

ヒートショックの原因は家の断熱性能、ではない?

ヒートショックの本当の話

 

住宅のお話でよく出てくるのがヒートショックです。ヒートショックの定義としては、

「急激な温度の変化で身体がダメージを受けること」

となっており、ヒートショックが原因による心不全・脳卒中で年間約17,000人ほどが亡くなられています。このヒートショックがお家の中で起こりやすいのが、洗面所からお風呂場に入るタイミングです。
 

 
洗面所や脱衣所の室温が低い場合は、服を脱ぐと寒さで血圧が上がりやすくなります。この時点で、高血圧や高血糖の方は“血管内が詰まる心筋梗塞や脳梗塞”などの虚血性疾患を引き起こすリスクが上がります

そのため、

「家全体の断熱性能を上げ、洗面所もお風呂場も暖かくして虚血性疾患のリスクを減らしましょう」

というのが一般的によく言われる話ですが、本質的な問題は他のところにあるケースが多いです。

 

ヒートショックで虚血性疾患が起こる=生活習慣の乱れによる動脈硬化または不整脈が進行している

健康な人なら、例え年配の方であってもヒートショックで虚血性疾患に陥ることはほとんどありません。ヒートショックで虚血性疾患になるということは、すでに動脈硬化がかなり進行している状態にあるか、不整脈によって心臓内に血の塊がある状態と言えます。

 

そして、心筋梗塞を発症した患者の3/4に耐糖能異常があるということが、国立循環器病研究センターの調査により報告されています出典:循環器病あれこれNo.106。つまり、心筋梗塞を発症した患者のおよそ3/4は糖尿病または糖尿病予備群による高血糖が大きな要因ということになります。

残り1/4の不整脈も、多くは生活習慣の乱れが原因です。睡眠不足・過労・ストレス・喫煙・アルコール・野菜不足などは、不整脈を誘発する代表的な要因となります(先天性の病気等で不整脈が起こる場合もありますので、そういったケースではまた話は変わってきます)

以上のように、ヒートショックによる虚血性疾患の多くは生活習慣の乱れが原因となっています。お家の断熱性能というのは本当に最後の引き金になる可能性があるだけで、根本的な原因ではありません。

 

お家づくりの視点からヒートショックによる疾患の予防法

ご紹介したように、ヒートショックによる虚血性疾患の予防を考えると、まずは良好な生活習慣を維持していくのが理想です。そして、お家づくりの視点で考えるなら、

  • ルームランナーが置ける畳2枚分のスペースを確保する 
  • 室内で運動や筋トレができる環境を整える
  • 庭のスペースに運動が楽しめる空間を作る
  • 良好な睡眠が得られる間取りを考える

 
など、虚血性疾患の原因である動脈硬化や不整脈そのものを進行させないような提案をする方が、ご家族の本当の健康を支えることができます。

運動は健康の源です。運動をすることで、筋肉中の糖分の消費を促し、食べた糖分が筋肉への補給に回されやすくなるため、高血糖を防ぐことができます。また、筋肉が増えるだけで糖分が筋肉への補給に回されやすくなるので、高血糖の予防に繋がります。

つまり、家の中で運動・筋トレができる環境があれば、天候に左右されずに健康のための習慣化が容易となります。決して広くない我が家ですが、ルームランナーが39,800円購入できると知り、「なぜもっと早く購入しなかったのだろう」と後悔したほどです。

 

快適に暮らせるレベルの断熱性能は必要

ここまで、ヒートショックを考えるなら、お家の断熱性能よりももっと根本的な原因、つまり生活習慣の改善の方が大事であることをご紹介しました。しかし、ある程度の断熱性能が必要なのも事実であり、滋賀で十分快適に暮らせる断熱性能は確保すべきです。

十分快適に過ごせる断熱性能を確保した上で、良好な生活習慣を維持するための工夫も同時に考えていくことで、将来のご家族さんの健康に1歩2歩と近づけるのではないでしょうか。

もちろん、高血圧・高血糖・不整脈といった疾患をお持ちの方が住まれる家であれば、通常よりも断熱性能を上げるのが最善となるケースもあります。現状の問題点を確認し、必要であれば必要なだけ断熱性能を上げるという選択肢が理想ですね。

 
お家づくりだけでなく、デザインは基本的に問題解決のために存在します。

  • 今の生活で解決したいポイント
  • 未来の健康を妨げる問題解決のポイント

 
これらをしっかり考えた上で、ご家族さんの未来の健康と笑顔を守れるような家づくりがご提案できればと考えています。

 


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