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滋賀の注文住宅は湖北・湖南によって建築仕様が変わる? |家づくりコラム|ライトパス

滋賀の注文住宅は湖北・湖南によって建築仕様が変わる?

冬は窓の性能を考える

 

滋賀県は少し特殊な地域で、長浜市は近畿以西の中で唯一「特別豪雪地域」に指定されています。とくに余呉町は毎年かなり積もりますね。

長浜市を抜けて米原市まで南下すると積雪は軽減されますが、米原も十分雪が積もる地域です。彦根市までくれば、年によっては積もったり積もらなかったり。

滋賀の積雪エリアを分けるとしたら、彦根市と東近江市になるかと思いますが、東近江市も数年に一度はドカっと雪が積もります。この記事を書いている広報スタッフは東近江市在住ですが、2022年は雪がかなり積もり大変でした。

滋賀の注文住宅は積雪エリアで変わる

近江八幡まで抜けると積雪はかなり軽減されるので、安土の山を超えるか超えないかが積雪エリアの最後の判断地域と考えてもいいかもしれません。

それでは、「東近江と近江八幡の境目」でどのように建築の仕様が変わるのかをご紹介します。

 


−目次−
断熱性能=UA値は低い方がいいが、家全体の平均値のため1つの基準にすぎない
冬場の快適さは家の性能に依存する=窓の性能は要チェック
湖北エリアほど、壁内結露対策を考える
東近江より北で安価なカーポートは危険
夏は窓からの日差しを遮る工夫を


 

 

断熱性能=UA値は低い方がいいが、家全体の平均値のため1つの基準にすぎない

家の断熱性能はUA値で表記します。

  • 国の基準:UA値0.87以下
  • ZEH基準:UA値0.6以下 ※業界団体の基準

 
という基準がありますが、ライトパスの標準性能値はUA値0.47〜0.5です(一棟一棟の間取りと仕様によって変動します)。この数字は、小さければ小さいほど性能値が高いということになるので、米原より北のエリアではUA値0.4前後、それ以外は0.47〜0.5ぐらいで性能とコストのバランスが良くなります

ただ、UA値はあくまで家全体の平均値なので、壁、天井、窓、床、どこかの断熱性能が極端に低くても他が高ければUA値は同じになります。そして、冬は家の性能(とくに窓)、夏は性能よりも日射をいかに遮るかが快適に暮らせるポイントになり、エリアによって仕様が少し変わります。

 

冬場の快適さは家の性能に依存する=窓の性能は要チェック

基本的に、断熱性能で1番のウィークポイントになるのは窓です。そのため、積雪地域のように寒い地域では窓の性能、とくに窓枠のサッシがポイントになります

今どきの窓はどこもペアガラスといって、2枚のガラスを使い空気層が2枚のガラスの間にあります。空気自体は元々断熱性能が高いので、窓の性能を大きく左右させる要因は窓枠のサッシになります。一般的に、標準的な窓は外側アルミで内側樹脂のサッシになりますが、性能を上げるなら外側も内側も樹脂素材のものを採用するのがベストです。

滋賀の注文住宅は建築エリアで窓の仕様が変わる

また、北に行けばいくほど冬場に窓が結露しやすくなるため、断熱性能ももちろんですが窓の結露対策を考えても樹脂×樹脂がベストです。また、上の画像では南のエリアで樹脂&アルミと記載していますが、どのエリアでも樹脂&樹脂にできるに越したことはありません。

 

湖北エリアほど、壁内結露対策を考える

滋賀の北部は南部に比べると寒く、各市町村の月単位の平均気温で見ると1度ぐらいの差ですが、日単体で見ていくとやはり冷え込む日が多いです。

そして、気温が低くなると“壁内結露”が心配になります。壁内結露とは、文字通り壁の中で結露が発生し、断熱性能や耐震性低下のリスクが上がる現象です。

冬は室内を温め、近年は加湿器を使うケースが多いかと思いますが、外気温が0度前後まで下がっている状態で室内を20度以上、湿度50%以上にすると壁内結露のリスクが上がっていきます。

合板による壁内結露

何も対策しない場合は、室温20度・湿度50%の状態で外気温が1度になれば壁内結露が発生する計算になります。逆に外気温が0度の状態でも壁内結露を起こさないようにする場合は、室内の湿度を40〜45%程度まで下げる必要があります。しかし、冬場の湿度が40%まで下がると、喉が乾燥しはじめ免疫力が低下しやすくなります

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係

室内の乾燥は、喉だけでなく肌全体の乾燥へ繋がります。近年の研究では、肌全体が乾燥することで肌のバリア機能が弱まり、肌からアレルゲン物質が体内へ入り食物アレルギー発症の引き金になるケースが多いことが分かってきました。肌の保湿は、健康に暮らしていくために思っている以上に重要なポイントです。

肌トラブルがない人が湿度40%の空間でしばらく暮らしてもほとんどのケースでは問題ありません。しかし、お風呂上がりのケアをずっと怠るケースや、元々乾燥肌の方、アトピー性皮膚炎がある方などは肌の乾燥を助長します。長い年月をかけて乾燥を助長していくことで、体の健康も少しづつ崩れていきます(筆者がまさにそうでした)

家族の健康か、家の健康か。2択になるような仕様ではなく、壁内結露対策を行うことで家族も住宅も健康になれるプラン・設計を考えていきたいですね。壁内結露については下記の記事でご紹介していますので、よろしければ併せてご覧ください。

壁内結露を防ぐポイントと壁の素材のお話

 

東近江より北で安価なカーポートは危険

カーポート

彦根・東近江でも数年に一度はドカっと雪が積もります。安価なカーポートだと積もった雪の重さに屋根が耐えられず破損し、修理が必要になります。

カーポートの修理だけならまだいいのですが、車の上に落ちた際は車の修理代も合わせてかなり高額になり、下に人がいた時には大怪我です。東近江より北で安価なカーポートをつけるのは数年後の大きな事故へ繋がる可能性が高いため、商品選びは注意しましょう。

また、台風を考えると安価なカーポートの屋根のパネルは飛んでいってしまうケースが多いので、どの地域でも安価なカーポートは不安要素になりえます。

滋賀県では台風等の被害はまだ控え目な方ではありますが、年によっては被害が大きく風がかなり強いケースもあります。2年ほど前、東近江在住の私は、道を挟んだ向かいの家のカーポートの屋根パネルが半数以上飛んでいくのを目の当たりにしました。

その後、そのお家のカーポートは撤去されましたが、安価なカーポートなら無いほうがマシと判断されたのでしょう。逆に長浜では安価なカーポートを設置するケースは少なく、頑丈な既製品を設置するかオリジナルで頑丈に作り上げるケースが多いです

雪が降るエリアなら、雪が積もった時のことを考えておきましょう。

 

夏は窓からの日差しを遮る工夫を

アウターシェードで夏の日差しをカット

夏だけ考えた場合、家の断熱性能をどれだけ上げても窓からの日射熱を遮らなければ室内がどんどん暑くなっていきます。断熱性能だけで防げる夏の熱量はおよそ1/3.5で、家全体を暖める熱量のうちおよそ1/3が窓から入ってくるからです。

もちろん、断熱性能も無視できない要素ですが、断熱性能を上げるよりも窓からの日射熱遮る方が明らかに低コストでハイパフォーマンスとなります。日射熱をカットする方法は大きくわけて2つあります。

アウターシェードを使って窓の外でカットする
遮熱カーテン等で窓の内側でカットする

日射熱をよりカットできるのは①の方ですが、②の方法でも効果は大きいです。

ここで話を戻しますが、滋賀は北は寒く南は温かいです。これは間違いではありませんんが、北でも夏は暑いです。そのため、湖北では寒さや雪の対策だけに意識を向けすぎず、夏の日射熱カットも検討してもらうのが理想です。

南はもちろん日射熱カットをしていきたいですが、正直なところ土地や間取り、体感によって差は大きいです。断熱カーテンではない普通のカーテンだけで夏も快適というケースもあります。断熱性能がある程度担保されていることが条件になりますが、そこまで気にしないという方は夏の暑さをもっと軽減したいと体感してから遮熱カーテンなどを検討されてもいいかもしれません。
 
 
 
さて、ここまで湖北と湖南の違いについていくつかご紹介させていただきました。滋賀県は湖北と湖南、とくに安土山を区切りに天候や外気温が変わります。建築エリアの特徴をより理解して家づくりを進めることで、住んでからの失敗も少なくすることができるはずです。ぜひ、お家だけでなく住まれる土地や気候などにも目を向けてみてくださいね。

 

 


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