2022.11.24
注文住宅の価格を左右する7つの要素
注文住宅は建売住宅とは違い、間取りや仕様を自由に指定できることから少し値段が高くなりがちです。そのため、住宅ローンの予算を把握し、予算内で収めるために優先度が高いものは採用し、優先度の低いものは採用しないという選択を行うケースが多いです。
その際、住宅の価格がどのような要因によって左右されるのかを把握しておくと、要望を上手く予算内に収めやすくなります。そこでこの記事では、住宅の価格を左右する要因について実際の見積もり比率を参考にご紹介したいと思います。
−目次−
●注文住宅における価格比率から見る要因
①木工事:36.72%→建物の面積が大きく影響
②給排水設備13.98%→:水回り設備のグレード
③外壁:9.19%→外壁の種類と家の形でコストカット
④内装建材:7.18%→床材やドアのグレード
⑤基礎工事:5.61%→1Fが広くなるほど基礎の面積が大きくなる価格が上がる
⑥塗装:内装工事5.56%→一部のフロアやカーテン
⑦金属建具工事:4.44%→玄関ドア、窓のグレード
●広さや間取りは住宅会社側で工夫、設備・ドア・床材等のグレードは施主側で取捨選択
●外構工事はどこまでするか?
●最後に
注文住宅における価格比率から見る要因
こちらの表は、弊社の注文住宅における平均的な各工事の割合で、上から順に割合が高くなっています。この比率で考えると、上から7つ目までがポイントになってくるかと思います。順番に見ていきましょう。
※項目の内訳が企業毎に違う可能性がございます。この記事の内容はあくまで参考程度にとどめていただければ幸いです
※雑工事は断熱材や防蟻処理、防水処理、その他手続き関係になりますが、この項目はコストカットできる部分があまりないため割愛します
①木工事:36.72%→建物の面積が大きく影響
住宅において、木工事は建築価格全体の約35%を占めるため、建物の面積が広くなればそれだけ価格が上がります。会社によって、1坪(畳2枚分の面積)広くなった時の値上がり額には多少差がありますが、グレードなど関係なく柱や壁などの構造材が必ず必要になるのはどの工事でも同じです。
35%を占めるということは、家の広さをなるべく小さくすればそれだけ価格は抑えやすいということになります。およそですが、弊社の場合は1坪(畳2枚分の面積)で約70万前後変化します。
リビングを20帖で考えているなら、18帖にするだけで約70万ほど予算を抑えることができ、寝室10帖を8帖にすればさらに70万、合計で140万ほど予算を抑えることができます。
実際は単純計算ではないため、ケースバーケースで下がる金額に差はありますが、目安として覚えておくと予算を考える際に役立ちます。
②給排水設備13.98%→:水回り設備のグレード
キッチン、お風呂、トイレ、手洗いなど、水回りの設備が主な内容になります。給排水工事も含みますが、それを差し引いても2番目に価格比率が大きい項目です。
建物の広さに次いで、それぞれの設備のグレードを調整することで価格を落としやすいですが、キッチンや手洗いなどはこだわりたいという方も多いです。他の部分で価格を調整できないか検討し、水回りは優先したいところではあります。
ちなみによくあるのは、1Fのトイレはタンクレスにし、2Fはタンクありにするというケース。これだけで、5万円前後調整できます。建築価格約2000〜2500万円で考えると小さな金額ではありますが、こういった細かい調整を重ねることで全体の予算を少しずつ調整していきます。
③外壁:9.19%→外壁の種類と家の形でコストカット
現在の外壁は、中級クラスのシリーズでも様々なバリエーションがあります。高い外壁を使わないとオシャレにならないというわけではないため、特別こだわりがない場合は上手くコストダウンできる項目です。
また、家の形が複雑になるほど外周の長さは増えていきます。上の画像の比較だと、正方形の外周32に対して凹凸がある方の外周は36です。比率にしておよそ12%増えることになるので、10〜15万ほど変わります。また、角が増えることで専用の部材も増えてしまいますので、トータル20〜30万前後の差になります。
コスト優先で家の形を限定してしまうと、導線などが悪くなることも多々あるため悩ましい要素ではありますが、なるべくシンプルな形状にすることでコストが抑えられるというのは覚えておきたいポイントです。
④内装建材:7.18%→床材やドアのグレード
内装建材の中にはクロスの下地である石膏ボードも含まれていますが、床材やドアのグレードを上げると価格が上がりやすいです。グレードが高めのもので見積もりを取られている場合は、この項目を見直すことで予算を落とせるかもしれません。
⑤基礎工事:5.61%→1Fが広くなるほど基礎の面積が大きくなり価格が上がる
家の土台になる基礎コンクリートは、面積が大きくなるほど価格が上がります。そのため、1Fと2Fがなるべく同じ面積になる間取りにし1Fの面積を広げないのが理想です。逆に、平屋にする場合は基礎の面積も大きくなり、通常の2F建ての住宅よりも基礎工事の価格が上がります。
ご要望を優先すると1Fが大きくなってしまうこともありますので、現状の予算とのバランスを見て調整できるといいですね。
⑥塗装:内装工事5.56%→一部のフロアやカーテン
フロアやカーテンも、グレード次第で価格調整は可能です。すでに安価なものを採用している場合はそれ以上難しいかもしれませんが、グレードが高いものを見積もりしている場合はコストカットできる項目になります。
⑦金属建具工事:4.44%→玄関ドア、窓のグレード
玄関ドアや窓は、断熱性能にも関わるポイントです。住宅会社によっては、窓の仕様で
- サッシの外側も内側もオール樹脂
- ガラスが3枚のトリプルガラス
などを採用されているケースがあります。サッシに関してはオール樹脂から外側樹脂&内側アルミにするとコストダウンできます。ガラスも3枚から2枚にすることでコストダウンできます。
ただ、滋賀でも湖北地域で建てる場合や東北や北海道などの寒冷地ではオール樹脂を採用するのがオススメです。もちろん、余裕があればどのエリアもオール樹脂がオススメです。
ガラスに関しては、余裕があれば3枚、予算が厳しいなら2枚でも実生活で問題ありません。落ちた断熱性能によって電気代が上がるという意見もありますが、3枚にして値上がりした分の住宅ローンの出費の方が大きいです。
広さや間取りは住宅会社側で工夫、設備・ドア・床材等のグレードは施主側で取捨選択
- 施主様の要望を上手く実現した無駄のない間取り
- 基礎コンクリートの面積は最小限に
- 外壁の角もなるべく少なく
こういった要素は、住宅会社側がいかに上手く設計できるかのウエイトが大きいです。一方、
- 水回り設備
- ドア
- 床材
- 外壁
- クロス等
- 玄関
- 窓
上記のグレードなどは施主側の取捨選択によるウエイトが大きいです。例えば、キッチンのグレードはどうしてもこだわりたいという場合、その他の要素で価格を抑える工夫が必要になります。
住宅の場合、住宅会社側がコストダウンの工夫を行うのはもちろんですが、施主側もある程度優先順位を決めて“何を採用し何を採用しないのか”を考えていただく必要があります。最初から全て決めておく必要はありませんが、打合せを進めていく中で常に担当者と検討していくのが理想です。
外構工事はどこまでするか?
外構工事もこだわりだすと200〜300万ぐらい、場合によってはもっと上がるケースもあります。広さにもよりますが、シンプルに済ませるなら150万前後でしょうか。住宅ローンの総予算を抑えるなら、外構はシンプルな形で検討するところからスタートするのが無難かと思います。
最後に
住宅会社によっても工法が多少違うこともあり、今回ご紹介した項目通りにならない可能性もありますが、大方共通していると思います。注文住宅の予算に悩む際には、ご参考にしていただければ幸いです。